お知らせ / 論文公開

暗号データ共有サービス「Code Courier」の設計に関する技術論文を公開しました

昨今のサイバー攻撃の高度化や、従来のファイル共有手法(PPAPなど)のセキュリティ課題が浮き彫りになる中、認証情報や機密データをいかに安全に受け渡すかが企業の大きな課題となっています。

このたび、株式会社ココログループでは、当社が開発・提供するブラウザ完結型・暗号データ共有サービス「Code Courier(コードクーリエ)」について、その根幹となる設計思想とセキュリティモデルをまとめた技術論文を公開いたしました。

本論文では、単に「通信を暗号化する」というだけでなく、サービス提供者すら情報を見ることができない「預からないセキュリティ」をいかにして実現しているか、技術的な観点から深く検証・考察しています。

論文で解説している3つのコア技術

🛡️ クライアントサイド暗号化とZero-Knowledge

一般的な共有サービスと異なり、Code Courierは入力されたデータを送信前にお客様のブラウザ内で暗号化します。サーバーへ送られるのは暗号化されたデータのみであり、復号パスワードや暗号鍵をサーバーが保持することは一切ありません。これにより、運営者による内部不正や、万が一のサーバー侵害時における情報漏えいリスクを根本から排除する「ゼロ知識アーキテクチャ」の仕組みを解説しています。

🔑 Out-of-Band(帯域外)鍵配送の有効性

パスワード付きZIPファイルとそのパスワードを同じメールで送る「PPAP」方式は、経路が傍受された際に無力であるという致命的な欠点があります。本論文では、暗号化されたデータ(Web経路)と、復号パスワード(電話・SMS・チャット等の別経路)を分離して相手に伝える「Out-of-Band鍵配送」の実践的なセキュリティモデルとその優位性について、攻撃コストの比較を交えて検証しています。

🌐 Trust Boundary(信頼境界)と完全性の担保

ブラウザ上で暗号化を行うWebアプリケーション特有の課題として、「配信されるプログラム(JavaScript)自体が改ざんされていないか」という問題があります。論文では、この信頼境界の考え方に基づき、Subresource Integrity(SRI)を活用したコード配信の完全性担保など、高度なセキュリティ実装アプローチについて取り上げています。

守るべき情報のユースケース

Code Courierは、以下のような「絶対に漏えいしてはならない重要情報」の共有を想定して設計されています。

  • システム開発時の APIキーアクセストークン の共有
  • サーバーやCMS等の 管理画面ログイン情報(ID/パスワード)
  • クラウドインフラの SSH秘密鍵データベース接続情報
  • 社内ネットワークの Wi-Fi認証情報
  • 顧客との 個人情報を含む機密メモ の受け渡し
「預からない」という、新しいセキュリティの形。

重要なのは、単に「運営者を信頼すること」ではなく、「信頼しなくても成立する誠実な設計(ゼロトラスト)」であることだと私たちは考えています。

今回の論文公開を通じて、Code Courierの技術的な考え方や、株式会社ココログループのセキュリティへの取り組みについて、システム運用やWeb制作に携わる多くの方に知っていただければ幸いです。